テキトー簡単お魚メニュー 万能干物作り
●釣りに行って、つい「釣りすぎる」というのはよくある嬉しい事ですが、近所へのおすそ分けという手もありますけど、やはり釣った魚は自分で食べたい。そんな釣りすぎの時に活躍するのが「干物」です。どんな魚でも干物にできると言って、マダイやオニカサゴも豪快に開きにする方(干物が一番美味い食べ方だとか)がいるそうです。ヒラメはどうするんだろう…? という突っ込みは置いといて、確かに干物は魚の持っている旨みを引き出す知恵でもあります。事実、干した方が美味しい海産物はたくさんあります。ナマコや貝柱、アワビ等々。太陽の紫外線がアミノ酸を醸成してくれるのでしょうか。学者ではありませんからその辺りはどう言おうと能書きになるのですが、確かに干物は美味い。自分で釣ってきた新鮮な魚を自分の手で干物にして食せるのは釣り師の特権です。店で買った魚をわざわざ干物にする人がいるかどうかは知りませんが。という突っ込みも置いといて、では美味しい干物作りといきましょう。

●干物にして美味い代表格はアジ、それからサバでしょう。イサキもなかなかうまい干物になります。干物にして冷凍しておけばいつでも美味しいアジ・サバが楽しめます。私はイナダを干物にしたことがありますが、ちょっとデカイ…。で、アジからいきましょう。開くのは三枚おろしの要領ですが、三枚にしてしまうと「開き」になりません。力を加減しながら背中の皮を残して気持ちよく開いてください。ちなみに、頭を残して開いたものが普通のようですが、我が家では頭はスッパリ落とします。ただその時、サバの所で書きますが、いわゆる「カマ」の部分は残します。鰓と胸びれの間の部分です。ブリのカマを想像していただければ分かると思いますが、あそこの部分です。ここには旨みが詰まっていますので。アジのゼイゴ(尾近くの体側、両側にあるギザギザの硬い部分)は煮つけやフライなど、皮を引かない料理では取りますが、開きはそのまま。開いた時の血合いや黒い膜は歯ブラシを使えば楽に取れます。下のイラストのように美しく開きましょう。これでもう美味そうです。

●ちなみに小さなアジ(豆アジ)がたくさん釣れた時、一つ一つ開いていくのは疲れます。これは鰓と内臓だけサックリと取って丸干しにしましょう。下のイラストのように鰓の下(下の左のイラストの青〇箇所)に指を深目に突っ込んでブチッと引っ張れば、一発で鰓と内臓がワンセットで取れます。小さなイサキも同様に処理できます(某船宿の大女将直伝の方法です、って程のものでもないですが…)。処理は簡単ですが、鱗を取るのを忘れないでね。

●ハイ、これでアジを干物にする下処理ができました。サバの場合も同じですが先ほど書いた「カマ」を残すために、頭をキレイに落としてください。下のイラストのような要領で鰓周りを回るような感じでクルリと切ってください。アジでもそうですが、面倒くさい方はバサッと切っても干物は作れますが、せっかくの美味しい所ですから、いくらテキトー主義と言えどもひと手間かけましょう。サバは大きいので、アジのように開きにするより、「二枚おろし」、つまり、三枚おろしで骨は取らない捌き方でいきましょう。尾びれは取ってしまいましょう。皮を引く必要はありません。1匹から骨付きと骨のない身が2枚取れます。

●干物作りは大きく分けて二つあります。「塩水漬け」と「味醂漬け」です。これは好みなのですが、一般にアジは「塩水漬け」、サバは「味醂漬け」といったイメージですね。とはいえ、好みですからそこは自由に楽しんでください。「漬ける」のは干す前の準備です。「塩水漬け」の場合は目安として水1リットルに対して塩80g程度、お酒100cc程度。漬ける前に塩を直接魚にすり込んで漬け込むと仕上がりがきれいにできます。「味醂漬け」の場合は味醂300ccに対して醤油150cc、日本酒100cc、といった辺りが通常のレシピです。が、テキトー主義の私としては、ある程度覚えたらまさにテキトーです。テキトー主義は計量カップや計量スプーンなど使いません(時々、使いますが…)。「塩水漬け」の場合は1時間程度、「味醂漬け」の場合は3時間程度が目安ですね。「味醂漬け」は漬け込みが終わったら余分な漬け汁をペーパータオルなどでふき取って(余分な漬け汁をふき取るのは「塩水漬け」も同じ)、白ゴマを均等に振りかけてください。この段階でもう涎が出そうになります。

●ハイ、これで後は干すだけ。ただし、干物はあくまでも「美味しく食べる」ための調理です。(余計な事ですが)「魚のミイラ」を作るのではありません。干物作りに最適なのは秋から春にかけて、冷たい風が吹いてくれるシーズンです。もちろんお日様が大切なのですが。夏場などは部屋の日陰などで扇風機で風を当てて作るのが無難です(家族の理解を得て…)。下のイラストのような干物作り用の網カゴは釣り具店かDIYで、大きさにもよりますが1000円程度で売っています。これに魚を並べて干すわけですが、「塩水漬け」も「味醂漬け」も6時間前後が目安。乾き始めたら適度に裏表を返して干してください。身を触ってみてベタつきが無く、薄い膜がはったような状態になればOK。ちなみに網カゴは使い終わったら水で流して中性洗剤で洗って乾かしておきましょう。

●干物の完成です! 冷凍保存する場合にはラップかフリージング用のパックに入れて。一か月くらいは美味しい状態で頂けます。三枚でおろせる魚はみな干物にできます。ヒラメやカレイもカワハギでもできます。ウツボだって干物になります。守備範囲の広い調理法です。私自身も、いつかやってみたいのはオニカサゴの干物…。ちょっともったいないような気もしますが…。
テキトー簡単お魚メニュー 目次へ
★魚の捌き方・下処理 「オニカサゴの毒針処理」
★テキトーコラム 「魚が釣れ過ぎた時の保存方法等」
★食べない魚はリリース 「食べられますけど… ウミタナゴ」
★食べない魚はリリース 「食べられますけど… ササノハベラ」
★食べない魚はリリース 「食べられますけど… ネンブツダイ」
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