一物全体・一物全食


●動物の肉や野菜を、その一部だけ食べるのではなく、全体をまるごと食べるという事です。まあ、牛一頭を食べるとして、その骨まではちょっと食べにくいですが、粉にすれば食べられない事も無いでしょう。野菜は、例えば大根ですが、その葉っぱの部分まで余さずに食べるという事です。リンゴなら皮ごとですね。よく言われますが、そうした普段は「捨てられる」事の多い部分にこそ、栄養分が豊富に含まれている、といいます。栄養学的には正しい考えです。
●この「一物全食」は「薬膳(やくぜん)」の考え方である「医食同源(いしょくどうげん)」といった考えと同列のもののようです。中国で発展した「漢方」と「薬膳」は少しばかり違っていて、漢方にも「気」という自然の持つエネルギーという概念はあるようですが、その目的とするところはやはり「医」であり、方法は違っても、いわゆる「西洋医学」と同じだと思います。それと比較して「薬膳」には思想のようなものが含まれているようで、動物、植物が成長するするために自然界から得た「気」というエネルギーを食物として体の中に取り込み、身体の健全なバランスを保つ、という事です。その考えが「一物全体食」「一物全食」です。
●現実的な話として、リンゴなら皮ごと食べても、むしろそちらの方が美味しくいただけると思いますが、前述の牛一頭まるごとの場合と同じで、ミカンの場合、あの皮を食するというのはどうも…。しかし、「一物全食」の考え方は理にかなっていると思います。で、魚の場合を考えてみます。これほど一物全食に叶った食べ物はありません。例えばヒラメやマゴチ、マダイですけど、これは五枚・三枚におろして身を取った後、アラが残りますが、これは煮付けて食べれば、酒の肴に最高です。どの魚も「頭」の部分に美味しい肉があります。煮汁には骨からの養分も沁みだしています。身を食べる時もマダイなどは皮をつけたまま湯で引いて「松皮作り」にすればグッドな食感が楽しめます。ヒラメやマゴチの皮も「煮こごり」や、煮ものに入れれば美味しくいただけます。オニカサゴなどは胃袋から腸まで美味しくいただけます。
●極めつけは小魚、特にイワシですが、これは15cm以下の「中羽(ちゅうば)」なら完全一物全食です。ピンギスや豆アジも唐揚げにすればまるごと頂けます。中羽イワシの生干しを焼いて「一物全食」! 自然まるごと「いただきます」です。
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