魚の捌き方・下処理 オニカサゴの毒針処理
●オニカサゴの美味さは時に伊勢海老にもたとえられます。まあ、それほど美味しい訳です。が、「美味しいものにはトゲがある」の喩え(ちょっと違う?)通り、このオニカサゴには強烈な毒針があります。私自身、チビオニにチョンと刺されたことがあり、その痛さは身を持って知っています。毒針の処理は慣れてしまえばそれほどでもないのですが、最初のころはビクビクものでした。船宿によっては船長が取ってくれるところもあります。また、慣れた人は船の上でチョキチョキと切ってしまいますが、私は毒針をそのまま残して持ち帰ります。最初に乗ったオニカサゴ船の船長に「オニカサゴはその毒があるから美味いんだよ。食べる前に自分で処理してみて」とビビるような事を教えられ、忠実に恐々と自宅で毒針の処理を続けてきました。慣れると、まあ、それほど難しいものではありません。ウッカリとブスッてなことが無い限り。

●そこでまずこの美味なる魚を楽しむために避けて通れない毒針処理についてご説明します。ちなみに、オニカサゴの毒は死んだ後でもそのままです。切り取った針に刺されると、激痛に苦しみます。台所で思わぬところに飛ばしたりしないように、新聞紙を広げて、口をバス掴みして(軍手をしてもいいですけど、ザラザラの歯に引っかかって逆にやりにくいかも。それほど鋭い歯ではないので私は素手でやります)慎重に切りましょう。切った後の毒針は広げた新聞紙にそのまま包んで、スーパーバッグか何かに入れてゴミにしましょう。くれぐれも、切った針が外に出ているなんてことが無いように。
●まず、毒針の在り処を確認しましょう。要は針ですから尖っているところです。下のイラストの青〇で囲んである場所が毒針のあるところです。背びれ、腹びれ、頬の周り。大きく分けるとこの3箇所です。前の方の腹びれ(胸の下)には経験上、毒針らしきものは見当たらないのですが、船長によってはここも切れと言います。まあ、毒針処理の基本は「疑わしきは罰する」ってな感じで、怪しい所(背中と腹のひれ)は皆切ってしまうと云う事です。特に、頬の周りが難しいのですが、私は尖っているところは全て切ります。包丁を使うプロは別にして、丈夫なキッチンバサミを使う方が楽に処理できます。あと、釣りで使うプライヤーを使えば、頬周りの怪しいトゲが取りやすい。

●40cmを超えるオニカサゴの毒針は、簡単には切れません。キッチンバサミは上のイラストのように頑丈なものを使いましょう。とはいえ背びれと腹びれは比較的切りやすいと思います。慣れないうちにてこずるのは頬の周りです。カサゴ類共通のエラぶたのトゲトゲはキッチンバサミで一気に切ってしまいましょう。あと、短いトゲが何本かありますが、これはハサミよりプライヤーやニッパでへし折る感じで取る方が簡単です。はい、以上の手順で、オニカサゴは安全なお魚になります。要は慣れですから、最初は多少時間がかかっても焦らず慎重に。あと、これは毒とは関係ありませんが、料理するのに頭を落とします。これは一苦労しますよ。なんせ、硬い!

●上のイラストにあるよう、裏側のエラぶたが合わさっている喉のところ(青〇の箇所)の身を、これまたキッチンバサミでブチッと切ります。すると鰓からつながっている内臓が現れますが、背骨は見えません。これは勘でやっているのですが、頭と胴の間に骨と骨がつながっている「節」があります。何度かやっていると何となく場所が分かるのですが、キッチンバサミで切った喉から刃先を突っ込み、その節を探り、ブチッと力を入れて切ります。プロは包丁で落としますが、それはプロの道具と腕があっての事。素人が変に包丁でこの硬い骨を落とそうとすると怪我をしかねません。私もそうでしたが、最初は「節」の在り処を探ってグチョグチョやる羽目になりますが、慣れるまでは安全策で行きましょう。「節」さえうまく見つかれば、けっこう気持ちよく頭を落とせます。

●はい、これで毒針を処理して、頭を落とすことができれば、オニカサゴの妙なる美味の世界を満喫できます。あとは「三枚」におろすだけです。くれぐれも間違って針を掴んだり、落として踏んだりしないようにお気をつけください。その痛さは刺されたことがある者にしか分からないと思いますが。誠に痛い…。
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★魚の捌き方・下処理 「オニカサゴの毒針処理」
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